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【腱板断裂とは？】

「腱板断裂」とは、肩関節を安定させる筋肉の特に腱の部分を一部または完全に裂けた状態を指します。

腱板とは肩関節を安定させる筋群であり、主に棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の４つで構成されてます。腱板は肩甲骨の先端部分と上腕骨に挟まれてるため摩擦を受けやすくなっています。

４０歳以上の男性、特に右肩に好発するといわれています。

肩に強い痛みを感じる点は、四十肩・五十肩と似ています。

ところが、四十肩・五十肩は自然に軽快することがほとんどですが、腱板断裂では肩に力が入りにくく痛みがいつまでも続くことがあり、適切な治療が必要となります。

【症状】

４０歳以上の男性（男６２%、女３８%）、特に右肩に好発しやすい症状です。

肩の運動障害・運動痛・夜間痛があり、受診する１番多い理由は、夜間痛で睡眠がとれないことです。

運動痛はあるが、多くの方は肩の挙上は出来ます。

五十肩と違うところは、関節の動きが固くなることが少ないということです。

他には、上げるときに力が入りにくい、上げると肩がジョリジョリという軋轢音がするという訴えもあります。

また、肩板断裂があっても症状のない無症候性断裂が半分以上を占めることも明らかになってきています。

【原因】

約半数は外傷（事故やスポーツ）による断裂。スポーツでは野球やテニス、バレーボール、ウエイトトレーニングをしている人に起こることが多いです。

その他にも肩を酷使することにより摩擦が起こる、加齢変化により断裂しやすくなっている、他の障害に合併して起こるなど様々な原因が考えられます。

【分類】

肩板構成筋は上記に述べた棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の４つであり、そのうち棘上筋腱が最も断裂しやすく、その分類として断裂の程度により、完全断裂（全層断裂）と不全断裂に分けられます。

①完全断裂

腱が完全に断裂した状態。

棘上筋腱断裂では外転筋力低下、棘下筋腱断裂では外旋筋力低下、肩甲下筋腱断裂では内旋筋力の低下が認められます。

②不全断裂

腱が部分的に断裂した状態で、断裂の大きさにより小断裂、中断裂、広範囲断裂に分けられ、さらに以下に分類されます。

・滑液包面断裂

・腱内断裂

・関節面断裂

【病院での治療】

腱板断裂の治療では、保存療法（運動療法・薬物療法）と手術療法があります。

腱の変性が起きている中高年の場合には、まず保存療法を選択します。

運動療法では、痛みによって緊張している筋肉を緩めるリハビリをします。

また、棘上筋の腱板断裂の場合、他に断裂していない腱板や肩周りの筋肉を鍛えることにより肩の動きを良くしていきます。

ただし、運動によっては症状が悪化する危険性があるので、必ず専門医の指導のもと行って下さい。

薬物療法では、断裂による炎症を抑えることで痛みを和らげます。

薬でよく使用されるのは非ステロイド性消炎鎮痛薬の貼り薬や飲み薬で、寝ているときにも痛みがある場合はトラマドールやプレガバリンを服用します。

強い痛みの場合、ヒアルロン酸や副腎皮質ステロイド薬の関節内注入をすることがあります。

これらを行うと３〜６カ月くらいでおよそ７割の人で症状が軽快していきますが、それ以外で症状の軽快がみられない場合には手術療法が選択されます。