【腱鞘炎とは？】

腱鞘炎は、腱の周りを覆っている腱鞘という部分に炎症が起きていることです。

症状は、患部に腫れや痛みがあり、動かしにくくなります。

【症状】

手の掌側に痛みが出るのはばね指で、グーの形にして手を開く際にカクッと遅れて伸びるような症状が出ます。

そのまま症状が進むと、指の付け根が痛くなってきます。母指が1番多く、中指と薬指がそれに続いてなりやすく、さらにひどくなると自力で伸ばすことができなくなってしまいます。

また、母指の付け根に起こるド・ケルヴァン病（※１）という指を伸ばす側の腱鞘炎もあります。

親指を他の指で握り、小指側に手首を曲げると痛みが生じます。

この場合、親指を開いたり伸ばしたりする動作が難しくなります。

〈参考文献〉南山堂 医学大辞典 P.１４３７

（※１）母指を過度に使用することによる長母指外転筋腱ならびに短母指伸筋腱狭窄性腱鞘炎で、母指の機能障害を生ずる。

【原因】

腱鞘炎にはいくつかの原因があり、最も多いのは繰り返し手を使うことによる機械的な刺激が、腱周囲の組織に加わり炎症を起こすものです。

炎症は物理的な刺激や細菌感染（細菌による化膿性腱鞘炎）が原因となります。

その他に関節リウマチによる腱鞘炎、結核性腱鞘炎などがあります。

近年、スマートフォンの長時間利用等による指の使い過ぎでド・ケルヴァン病といった腱鞘炎や、指を伸ばしたり曲げたりする時に引っ掛かりが出てくる「ばね指」という症状が増えています。

手首に負荷がかかりやすい子育て中の人達や、キーボードやスポーツで指をよく使う仕事の方がなりやすいといわれてます。

【治療】

原因は使い過ぎの為、指の曲げ伸ばしを出来るだけしないことがとても重要です。

また、夜間に指を伸ばしたままテーピングをすると指の安静になり有効です。

ただし、指を全く動かさないままだと、関節が固くなるので、一日に何度か指をストレッチすることが大切です。

それでも症状が軽快しない場合は、副腎皮質ステロイド薬の局注などを行います。

注射でも改善されない場合は、外科的手術を選択し腱鞘切開術を行います。